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九月七日の東京新聞夕刊に、久生十蘭にまつわるコラムが載っている、その切り抜きを受け取った。文学における改稿をどう考えるかというテーマである。確かに久生十蘭には、作品を発表するたび題名も人物名も、設定さえ変わってしまうほど、原稿に何度も手を入れる悪癖があったらしい。▼現在国書刊行会から刊行されている定本全集は、全て最終稿を採用している。一方こちらも最近出版されたばかりの、岩波文庫の『久生十蘭短篇選』では初稿を読むことができる。どちらがベスト版かは人によるだろうが、両方残っていることは研究者にしてみればありがたいことだろう。▼久生十蘭は確かに良い作家だ、現役作家にファンが多いのも頷ける。貸した友人にはいまいち受けなかったが、類を見ない独特の世界を感じる。しかしコラムの最後に「修辞と衒学趣味に満ちたコスモポリタンの文学世界」と、なんだかそれこそ修辞と衒学趣味に満ちた襷が。そこまで大仰なものかね。
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