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ジョルジュ・バタイユの話が出た。彼の思想自体に深入りしたことはないが、バタイユという名前と共に、いまでも強烈に印象に残っている記憶は、彼の著作に引用されていたエルンスト・ユンガーの戦争描写である。書棚の「呪われた部分、有用性の限界」を読み直すと、第六章に見つかった。▼引用は一切しない。その描写のリアリティは、出し抜けに紹介するにはあまりにも苛烈だ。「ユンガーほど、戦場とその恐怖を過酷なまでに描き出した作家はいないだろう。」とバタイユは言う。興味のある人は、ちくま学芸文庫の上述の著書、第六章「戦争」を開いて欲しい。▼人間は光るのだ、緑色に光るのだ、という固定した観念が私の頭に根付いて離れなくなったのは、間違いなくこの「戦争描写」を読んでからのことだ。人が抱える悩ましい強迫観念の多くは、このようなさりげない知的経験が元になっていることが多いように思う。読書も決して、精神的にノーリスクではない。
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