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「大部分の子供というものは、玩具の命を見たがる。玩具の寿命を長引かせるか否かは、この欲望が早く襲うか遅く襲うかにかかっている。私には、こうした子供の奇癖をとがめる勇気はない。なにしろこれは子供の最初の形而上学的傾向なのだから。」▼ボードレールはその著「玩具のモラル」でこう述べた。澁澤龍彦はこの一文を「猫と形而上学」の中で引用し、≪猫を見るとつい蹴ってみたくなる≫という自分自身の衝動に説明を与えている。生物虐待の志向とはまったく別種のものだ。▼≪生物のようなもの≫が生物に見えたり、生物が≪生物のようなもの≫に見えたとき、人は命を確かめたくなる。もし猫を蹴ったとき、猫が何の抵抗もせず、うめき声も上げず、まるで空き缶を蹴ったように飛んでいって転がって、そのまま微動だにしなかったとしたら、恐らく蹴った彼は、猫についての認識を根幹から揺るがされるに違いない。それが「形而上学的傾向」ということである。
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