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芸術新潮、エジプト特集を見る。仏像かと見まごう如き、静やかな威厳の≪ラメセス二世座像≫が一番だった。エジプト美術にそれほど特別の興味はないが、紀元前の歴史をざっと追いつつ代表的な美術作品をぱらぱらと見ていく分には案外楽しい。▼変化の激しいヨーロッパ美術に比べて、エジプト美術は「揺れ」が少ない。初期王朝期に成立したスタイルが、そっくりそのまま権威ある伝統として、連綿と踏襲されていった結果だ。見どころも鑑賞の法も自ずと数が限られて、時代背景、動機、形式など、こちらで逐一整理しなくても、悠々白眉を堪能できる。この気安さがいい。▼美しいガラス石の巧みな装飾品や工芸品、壮大な壁画も嫌いじゃないが、私は石像や石棺のほうが気に入った。写真ごしにさえ伝わって来る視覚の圧倒的な重量感にぐっと惹かれる。石材の放つ光沢の重々しさも素晴らしかった。いつか世界をまわる折には、実物の雰囲気にも圧倒されてみたいものだ。
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