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表現法の格に「真・行・草」というものがある。もとは書道から来たもので、字をくずさず正確に書く真書、形に捉われず自由にくずした草書、その中間で真書をややくずした行書、この三種の筆法を「こころ」としたものだ。日本座敷の形式のように、これは真、これは草と対象を分類することもあれば、山水庭園のように、真・行・草を同じ空間内に同居させることを意図する場合もある。▼今では華道・俳諧・絵画など、広く芸能分野に転用されているが、いかなるときも大切なことは、「真・行・草」は美意識であって、ルールではないということだ。様式・非様式の場合分けの手本や原則ではなく、我々の芸術においては古来、そういうフレームの中にものごとを捉え、解釈していくところに美を見出してきたのだという、言わば伝統的鑑賞法の凝縮表現であり、芸術全般で重要な素養となる≪風趣をよく見分ける眼力≫を養うための、ものごとの切り口を教えているのである。
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