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七十四歳の老身でありながら、十九歳のウルリーケに求婚したゲーテ。戸を閉めない人をどうしても許せなかったという、俗人らしいこだわりを持っていたスウィフト。自分の講義に一人も生徒がやって来ず、「世間に顔向けできない」と手紙でワーグナーに泣き言を洩らしたニーチェ。聞こえこそ良くは無いが、どのエピソードも素朴で素直で、言いようのない親しみを覚えさせる。いっそ愛嬌と言ってもいい。▼愛嬌というものは、本当に良く人を惹きつけるものだ。厳格に付き合わなければいけない相手であるほど、ほんの少しの愛嬌を見つけるだけで、なんだか急にほっとしてしまう。そこが≪あそび≫になる。松下幸之助も、成功する人間の三大条件に「可愛げ」「運が強そうに見えること」「背中」を挙げていた。可愛げは愛嬌だ。これはきっと、対人の条件なのだ。いくら尊敬に値しても、どこにも可愛げの見出せない相手と長く付き合いつづけるのは、疲れるものである。
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