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「ゴールドカラーは現実になった」と、ある講演で聞いた。そうかもしれない。ゴールドカラーはブルーカラー、ホワイトカラーに続く先進国の新たな職種層として、ロバート・E・ケリーが1985年に提唱した概念である。自分の能力を自由闊達に売り歩くスタイルで、世界を股にかけての仕事を良しとする。「人生の移動半径が圧倒的に長いこと」が彼らの主な特徴だ。▼そんな「職種」がいるものかと一笑に付されて一度は死語になったこの言葉が、ふたたび忽然としてこう日の目を見ることになったのは、提唱された当時は少数であったゴールドカラー的な生き方を好む人々が、いまや「職種層」を形成するまでに増えてきたということだろう。日本に生まれシリコンバレーで起業しアジア全域で活躍などという話さえ、現代にあってはもはや珍しくもない。言ってみればホワイトカラー全体が、ひいては働く人間全体が、いっそう職能主義的な仕事観に傾きつつあるのである。
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