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解明されていない現実のモデル化を試みれば、必ず反証に晒される。そのとき防御力を決するのは、モデルの構造そのものだ。たとえば広大な部屋の中で均等に点在するラットのような生物Xのモデル化を考えよう。それぞれの生物Xに、ひとつは「部屋の密度を均等にするよう行動せよ」と命令する。もうひとつは「周囲のXとの距離を平均化するよう行動せよ」と命令する。どちらの方がより防御力が高いか。▼プログラムとしては前者の方がよさそうだ。後者は境界条件次第で誤った局所解に陥る可能性があるし、収束も遅い。しかしこと防御力に関しては、優れているのは後者である。何故なら前者は、部屋全体を見ることはできそうにない個々のXが、「部屋の密度」なるものを把握し、それを均等にするよう振る舞うと言っているのだ。これは些か説得力を欠く。現実の制約条件と対立しそうにない後者の方が、「現実はこうでありうる」ことから高い説得力を持つのである。
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