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「二度読む価値のない本は、一度読む価値もない。」人に言うと「どうかなぁ」と濁されることが多いのは、主張が極端すぎるからかもしれない。暴論ながら、私はけっこう気に入っている格言である。本当に面白い本は二度読みたくなるし、本当に面白い映像は二度見たくなるし、本当に面白い話は二度聞きたくなる。二度というのは、物事の真贋を見極めるにはなかなか優れた指標だ。ビアスは『悪魔の辞典』で「一度だけ回数が多すぎること」と皮肉っていたけれど、そうとばかりも言えない。▼ヘーゲルの『歴史哲学講義』にも、こんな一節がある。「国家の大変革というものは、それが二度くりかえされるとき、いわば人々に正しいものとして公認されるようになるのです。ナポレオンが二度敗北したり、ブルボン家が二度追放されたりしたのも、その例です。最初はたんなる偶然ないし可能性と思えていたことが、くりかえされることによって、たしかな現実となるのです。」
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