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芸術新潮十月号のスターダストは興味を惹かれるものが多かった。まずアイ・ウェイウェイの「月の箪笥」。まん中にぽっかり穴の開いた箪笥が一列に並ぶ、その丸穴を正面から覗き込むと、少しずつズラされた穴の位置の妙で、影と箪笥の模様とが合わせ鏡に映った月の満ち虧けのように見えるのだ。発想が面白い。▼他には斉藤ちさとの「発泡都市」。炭酸水の水槽越しに都市の風景を高速撮影したもので、ぼんやりした画面に浮かぶ小さなの泡の中に、よく見ると背景がくっきりと、かなりきれいに写り込んでいる。目を凝らしてみてはっと感嘆の息が洩れる、この時間差がいい。粒々に見晴らす風景、この見晴らし方はちょっと珍しかろう。▼毎度毎度、楽しいレビューコーナーだ。世の中には本当にいろんな発想が尽きないな、この分なら芸術もどこへでも行くさ、≪打ちおろすハンマアのリズム≫も止みそうになし――そんなふうに思えて、なんだか嬉しくなる楽しみである。
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