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あらゆる行動にはリスクが伴う。したがってあるリスクを軽減しようとすると、軽減する行為自体にもリスクが発生する。これを対抗リスクという。この対抗リスクを正しく見積もることができないと、本当に相殺されているリスクの多寡を見失ってしまう。▼天然ガスは、化石燃料のなかで最も炭酸ガス排出量が少ない。このことは石炭からの移行当時、環境的見地から大いに歓迎された。すぐさま移行が奨励された。しかしここで見失われていた対抗リスクは、天然ガス自体が炭酸ガスの二十倍近い温暖化効果を持つメタンガスであるということだ。土地面積の大きな国では、運搬時にパイプの継ぎ目などからほんの少しずつ洩れていく量を無視できなかったのである。▼後に行われた調査によると、現実には平均して許容限界の倍近い量(15%程度)が洩れていたという。運用開始からしばらくは炭酸ガス排出量削減に役立たないどころか、むしろ悪化を招いていたというわけだ。
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