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妹尾堅一郎『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』を読む。あるいはかつての日本の栄光を考えるなら、なぜ事業で負けるようになってしまったか、だろう。答えは競争力モデルが変わってしまったからだ。インベンションが即ちイノベーションであった時代は終わったのである。終わらせたのは欧米諸国に他ならない。▼印象的な事例がひとつある。今から約六年前、パソコン市場に突如無名のメーカーが参入し、圧倒的低価格で一気に製品の普及を果たしたことは、日本の完成品メーカーにとって寝耳に水だった。気がつけば店頭に並ぶパソコンのどれにも「Intel Inside」のシールが貼られている。▼インテルの戦略は神がかっていた。マザーボードという中間システムを作り出し、隣接部品の開発技術を人件費の安い台湾メーカーに渡すことでディフージョンを外部に担わせ、自らはCPUという急所部品を押さえたまま、市場拡大と収益確保を同時に達成したのである。
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