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『小林秀雄全作品7−作家の顔』を読む。相変わらず楽しく読んだ。濃密でバリエーションに富んだ巻である。文芸月評で個々の作品に加えている批評など、辿っているうちに直接自分が何か示唆を受けている気分になってくるから不思議だ。こう批評されている側の作品を知らなくても楽しめる批評というのはなかなかあるまいと思う。批評の方から作品が見えてくるようだ。▼「文学者の思想と実生活」「現代詩について」「文学の伝統性と近代性」このあたり併せ読むと、この時期の小林秀雄が現代文学全般に対して持っていたイメージと問題意識をかなり明瞭に掴むことができる。いつも通りの秀雄節である。「現代詩について」は特に真剣に読んだ。近代叙情精神に関する詩人等の自覚に待たねば現代詩の不振は救われぬという。この点、未だに救われてはいまい。韻律や定形という末節の問題さえ、解消されたかのようなふりをして、ただ放置されているに過ぎないと感じる。
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