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宇野常寛『ゼロ年代の想像力』を読む。近代日本におけるサブカルチャーの変遷を、ポストモダン状況の進行に伴なう「大きな物語の失効」「引きこもり/心理主義」「サヴァイブ系/決断主義」という系譜で説明し、決断主義を克服するための未来としてグレーな連帯感と日常ファンタジーに着地する。「私たちはこの断片的時代をどう生きるべきか」その解答を探す試みだ。▼批評態度は好みに合う。表現も軽快で、分析もマクロレベルでは正しい。しかしこれを読んだ≪ゼロ年代を生きる人々≫は、どこかしっくりこないものを感じるのではないかと思う。これが私たちの生きる世界だ、これが私たちの姿だ、と信じるまでに至らない。批評作品の選択と解釈が恣意的なこと、中性的視点が欠如していること、サウンドバイト的な表現に頼りがちなこと、まとめに至る論理展開が杜撰なこと、理由は様々あるだろう。来る十年代のサブカル批評の橋頭堡にはなるかという印象である。
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