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キャロル・オコンネル『クリスマスに少女は還る』を、他ならぬこのクリスマスの日に読むというのも乙なものだ。けれどそのことに気づいたのは、実を言うともう百ページ以上読み進めてからだった。手に取ったのは偶然である。それでもせっかくなら当日中に読み終えてしまいたいと思って一気に読んだ。さいわい作品にも、一気に読ませてくれるだけの力があった。▼巧緻を極めたプロットと衝撃の結末で評判の本作。どちらの売り文句にも若干首を捻りたくなるところはある。そこで捻らせないのは登場人物の、なによりサディーの尽きせぬ魅力である。どうあれ彼女を好きになってしまった人にとっては、展開は手に汗握る緊張の連続であり、エピローグは驚愕のどんでんがえしであり、読後感はあまりに切ない珠玉の感動ミステリなのだ――私のように。「みなさんはあの子を愛さずにはいられなくなるわ。」作者にしてやられたのである。それにしてもいい邦題だと思った。
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