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今年は雪なしに終わりそうな気配だ。このあたりは太平洋側の海沿いで、雪の降りにくい地域である。土地柄もしぜん降雪を歓迎しない。それでも子供たちにとってはめったにない雪遊びの機会になるし、雪の風情なく一冬過ぎるのもやはりなんだか味気なくて、みんなたまには雪の話をする。降らないね、そうだね。▼雪はないが、つららならある。早朝の学内を散歩していると、足元に張った水面がきらきらと凍っているのに出くわした。なるほどこれが「つららゐる」かと思ったものだ。「つらゝゐてまもる岩まのせきなれやよをへて堅くなり増る哉(源俊頼)」▼ここで言うつららとは水面に張った薄氷のことで、現在のつららは、古くは垂氷(たるひ)と呼ばれたものだ。「日ごろ降りつる雪の、今日はやみて、風などいたう吹きつれば、垂氷いみじうしたり。」と『枕草子』にある。漢字を見ても氷柱より垂氷のほうが、つらららしくていいじゃないか、と思わないでもない。
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