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「残酷な未来というものがあるのではない。未来は、それが未来だということで、すでに本来的に残酷なのである。」安部公房は『第四間氷期』のあとがきでこう述べた。未来は私たちのありふれた主観的判断を静かに裏切る。未来を垣間見ることは、日常的な連続感から断絶されることである。▼この言葉を思い出したのは、先日書いたサステナビリティのレポート絡みであった。私はどうもこのサスティナブルという言葉が、必要以上に人の心を誑かしている気がする。持続という、ニュアンスである。▼人間は、現在享受している快適な環境が、永劫変わらぬままであることを渇望する。しかし、原理的に永続しないシステムもある。それがなくなってしまったときに、人類はイノベーションを起こすことで、新たな快適さを生み出してきたのだ。持続が甘えになってはいないか。維持の仕組みにこだわりすぎて、やがて来る確実な「残酷」と向き合う力を無くしてしまっては困る。
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