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現在気象庁で運用されている気象予測モデルはすべてプリミティブモデルである。プリミティブ方程式は、ナビエストークスで鉛直方向の運動方程式に静水圧近似を用いる非線形微分方程式群。静水圧近似は、水平方向の運動スケールが鉛直スケールよりも十分大きいとき成立する近似である。地球規模では対流圏までせいぜい10kmであるから、この近似が有効となる。もちろん、小さな領域の予測を行うときには非静力学平衡のモデルを別途導入しなければならない。▼非線形微分方程式の常で、このモデルも境界条件に極めて左右されやすい。予測結果は初期値が全てと言われるほどだ。観測データの扱いとパラメータ設定は徹底した精密を要する。しかし、人間に役立つ気象予測はもう少し漠然としたものであっていい。「だいたいわかる」ことに価値を見出す、大域的で俯瞰的な予測のための人工知能的アプローチが、そろそろ気象予測の領域で見込まれても良い頃だと思う。
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