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音の捉え方について、経過的に考えてみよう。はじめ、音符は点で捉えられる。指を置くべき鍵盤を探すような、どの音がどこで鳴るかという離散した認識である。まだ受動的な段階で、自ら秩序ある「曲」を作り出すことは難しい。▼そのうちこれを線で捉えるようになる。片手でピアノのメロディを弾くような、旋律という認識である。そうしてこれが両手となると、線と線の関係を考える段階になる。五線譜よりもっと広く、全譜面を一望のもとに鳥瞰するような、面の認識である。全体の性質を決定づけるような音運びの所在を気にするようになり、テンポ・強弱の表現に対する気遣いが生じてくる。▼最後に、面と面との関係、つまりレイヤーで全体を捉える視点になる。音色空間という奥行きを仮定した、言わばオーケストラ的発想である。最高位に複雑だが、それだけに構成・表現の可能性は無限である。現実的には恐らくこれが、認識の最終段階ということになるだろう。
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