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いつか大学の英語でサッカレーの「The Rose and The Ring」全訳をやったとき、第一章冒頭の記述に見えるパフラゴニアの「King and Queen」を、とっさに「王と女王」と訳して怒られたことがある。こうして文字に起こしてみると明らかだが、たしかに王と女王は併立しない。「王と王妃」と訳すべきだろう。▼ややうるさいような話だが、このエピソード以来、和訳の日本語には随分気を使うようになった。もともと大意があっていれば日本語は崩れていてもいいというような、事務作業的な「試験の和訳」が大嫌いだったが、その指向にいっそう拍車をかけて言葉選びをするようになったと思う。▼国語力云々は考えていなかった気がする。ただ出来上がった訳を見て、もとが英語だったとはちょっとわからないような、日本語らしい日本語を拵えることに躍起になった。それが板についてきた頃、実に流暢な訳ですねと褒められたりして、いよいよ嬉しくなったことが懐かしい。
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