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小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」、夢野久作の「ドグラ・マグラ」、中井英夫の「虚無への供物」、竹本健治の「匣の中の失楽」。あわせて四大奇書、あるいは四大アンチミステリーと呼ばれている作品群である。アンチミステリーとは、筋立てに論理的な解決の無いミステリーのこと。そのミステリーの前提を破壊するかのような振る舞いが、アンチたる所以である。▼創元推理文庫の日本探偵小説全集「夢野久作」巻で、まず『ドグラ・マグラ』を読んだ。面白かった。どうなる、どうなるの連続で、謎と伏線の山積み展開、ここまで引きの強いミステリーは読んだことがない。が、読後感もいいとは言えない。「なんなんだこれは」と言っておくしかなさそうだ。脳髄の地獄とはうまく言ったものである。考えれば考えるほど深みに嵌っていくあたり、ちょうど天井に向かって自分の名前を問いつづけたり、鏡に向かって君は誰だと言いつづけるときの感覚に似ているかもしれない。
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