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冒頭談義をした。よい小説の冒頭とは何かという、いつになっても興味の尽きないテーマである。美辞麗句で綴られた舞台の情景描写、モノローグ調で語られる主人公の強烈な心理、事件の存在を匂わせるよう投げ出された台詞、インパクトのみで奇を衒った一言、どれも一流と呼ばれる書き出しに見える手法だ。こう分類して行けばきりがない。▼このように様々な形を取りうる冒頭の工夫について、ポーは次のように言っている。「物書きとして賢明であるならば、彼は出来事にあわせて想を練ったりはしなかったはずだ。逆に、物語がいかなる独特の効果を醸し出すべきかをじっくり考えたうえで、前もって考えた効果を実現するのに最適な出来事を創作し、組みあわせたはずである。もしも、物語の最初の一行がその効果を引き出す方向に向かっていないとしたら、第一歩からつまづいたことになる。」冒頭は導入であると同時に、物語全体を最大限に演出するための装置なのだ。
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