400
Post/Edit Page
エラリー・クイーン、ディクスン・カー、ハワード・ヘイクラフトなど、一流の推理小説家・評論家たちが、世界のベスト短編選出の試みを行ったことがあるという。第二位は、ポオの「盗まれた手紙」だった。推理ものアンソロジーに組み入れられること世界でも指折りの、いちど読んだら忘れられない見事な名掌編である。ドイルの「赤髪連盟」がこれにつづいた。▼しかし、これらを大きく引き離して第一位に選ばれたのが、トマス・バーク「オッターモール氏の手」である。ロンドンの陰鬱な横町で繰り広げられる「恐怖の絞殺事件」は、読者になにひとつ手がかりを与えない。見当もつかぬ犯人、そして衝撃の結末。終わってみれば決して見抜けないでもない構成が、引き込まれているあいだは見抜けない。ただナレーションが読者の心臓を打つのみである。大傑作。そして、エラリー・クイーンの短評は、こうだ。”No finer crime story has ever been written, period.”
pass:
Draft