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雨戸の轟音が深夜に響く午前四時。ついさっき強い風の中を買い出しに出て、帰ってくるとまもなく豪雨になった。間一髪だ。明日は終日荒れ狂うという。長閑な春の名物に、暴風雨があるというのも何だか凄まじい。▼日本海低気圧の通過にともなう春の強風・突風は、関東では特に多く、春疾風(はるはやて)、春嵐(はるあらし)などと呼ばれて俳句の季語にもなっている。「ネクタイの端が顔打つ春疾風(吾亦紅)」「春嵐胸に湧き来るものにわか(吐天)」冬の冷たさが残る東風とは違い、強くともやわらかく暖かい風である。▼また、春二番、春三番とつづく低気圧の通過後には、はたと西高東低の気圧配置に戻って冷たい北西の風が吹くことがある。しばしば雪混じりに吹くこの風は、春北風(はるならい)と呼ばれている。春になるといつも吹くならいの風だから、はるならい。こちらもやはり五文字なので、俳句には使いやすかろう。風に関する春の季語は豊富である。
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