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武道の言葉に「虚実一体」というものがある。呼吸について、吸う動作は虚、吐く動作は実であり、虚は隙を生じやすく敵の攻撃を受けやすくなるから、虚実の呼吸を敵に読まれぬよう一体とせよ、という教えらしい。くわえて虚は実を活かすための虚であるという意を共通軸に、攻防に捨ての動作を混ぜることで相手の錯覚を利用し優位に立つ戦術もこう言われる。すなわち「ハッタリも実力のうちである」ということだ。▼日本人は総じて謙虚である。謙虚と言えば聞こえはいいが、言い換えれば実に虚の伴わないことが多い。ハッタリが効かないのである。がっかりされることを恐れる余り、なかなか強く出られないのは、笑い飛ばせる鷹揚さが足りない島国根性の悲しさかもしれない。しかし「全然できません」という後ろ向きな謙遜をするくらいならば、せめて”Yes, but”の精神で、「できます。けれどもまだまだ勉強中です。」これくらいの前向きで謙虚な”虚”は欲しい。
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