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石川丈山は「幽居即事」でこう春を読む。雨湿して鶯衣重く、風暄かにして蝶袖軽し――たしかによく雨の降る四月である。今も天窓が音を立てるほどの大雨だ。気象庁で横浜のデータを覗いてみると、どうやら今日までに四月だけで十二日間雨が降っている。そのうち半分が10mm以上の雨。合計降雨量は案外例年並だが、晴れの日が少ないだけにいっそう雨ばかりに感じる。▼しかし風の方はといえば、ちっとも暖かくなんかない。三月の後に二月が帰ってきたようだと、皆口を揃えて言う連日連夜の寒さである。例年、横浜では四月の平均気温は大体15℃から16℃だが、今年は日平均11.9℃。最低気温平均も8.3℃と、毎年ほぼ必ず超えてくる10℃のラインを下回っている。最高気温も言うに及ばず、とにかくまったく春らしくない四月である。羽を暖かに撫でてくれる風もなくて、蝶もさぞかしたいへんだろう。満開の桜を見ながら白い息を吐いた朝が思い出深い。
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