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子どもが熱中する遊びの一要件に「コレクション性」がある。男の子は特にそうだ。一昔前であればミニ四駆、ベイブレード、最近では遊戯王やムシキングなどの大ヒットを考えれば、いまさら詳しい説明を要しないだろう。ところで一般にこれらのコレクション対象が単なる物ではなく、背景物語の中で意味を持つ生物的な存在が、車やコマやカードといった物体に落とし込まれている点は注目に値する。▼何故か。収集情熱というものは、物体に対する嗜好だからである。生きている動物や鳥をあつめても、それは一般にコレクションとは呼ばれない。「昆虫でも貝殻でも、生の記憶から出来るだけ遠ざかった、乾燥した標本となって初めてコレクションの対象となる。」澁澤龍彦はこう述べる。物体愛こそ蒐集癖の心理学的な基盤をなすものなのだ。そうして特に男の子がコレクションに関心を示すのは――恐らくは彼らが生まれつき遊ぶべきオブジェを持っているからなのである。
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