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人から物へ。文学にはさまざまな変身譚が存在する。なぜ変身しなければならないか、その理由は様々だ。行為への罰、人生の記念、天敵からの保護、我が身の衰弱……そうしてそれらの作品ひとつひとつが、なんらかの形で人間の変身願望を表現している。鯉へ、虎へ、声へ、透明人間へ、デンドロカカリヤへ。特に植物への変身願望は、人間にとって特別な意味を持っているという。▼ところで人間が動物、植物、無機物にその身を変じるというのは、言ってみれば擬人化の反対バージョンである。しかしそもそも擬人化というのは、非人間的なものの中に人間的なものを見出すという作業であるから、物から人間を引き出す以前にすでに物へ人間を投影している。すなわち眼前の物を、人間が形態変化したものと見做しているとも言えるのである。擬人化と変身願望の根底にある価値観と世界観は実は共通のものであるという、逆説的なメタモルフォーシスの一論説として興味深い。
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