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どんなことにでも似たようなことは言えるが、特に曲の音選びについて必要と思われるスキルは「企画力」「構成力」「表現力」だ。企画力は音への意味付けである。なぜその曲にその音を選ぶのか、という問いに対する明確な答えだ。構成力は割り振りである。なぜその旋律にその音を割り当てるのか、という問いに対する答えだ。そうして表現力は、音や楽器についての知識と経験である。▼サンプリング音源を用いるDTMにおいては、この「表現力」が厄介なパラドックスを孕んでいる。打ち込みで楽器を表現する場合、たしかに音源のクオリティは表現力を左右する最大のボトルネックだ。けれども音源のクオリティがあがることによって蒙る不都合もある。音のリアリティが高ければ高いほど演奏表現の自由度が増すために、僅かな調整のズレがかえって不自然に聴こえるのだ。すなわちよい音源を使うほど、音の表現力と自身の表現力のあいだの乖離が大きくなるのである。
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