400
Post/Edit Page
運命の、と枕詞をつければ出来事がぐんと大仰になる。ほんとうは人生の刻一刻、いかなる些細な選択肢も運命の分かれ道ではあるのだが、それがひとつの事件に「運命の」と言いたくなるのは、ちょうどサイコロでゾロ目が出たときだけを特別に感じる心理と変わらないだろう。肝所は自分で決める。あらかじめ意味があると思い込んだところに運命があるのだ――なるほど、そう思えば運命の配属発表ではある。▼詳しいことはここで語れるはずもないが、この波乱万丈のご時世にふさわしく一騒動はらんだ人事であったらしい。騒然とした場面もある。私はと言えば、文句なく希望通りに配属されたからよかった。行くべきところへ綺麗に収まった形になる。こう書くと実に味気ない報告めいているようだが、辞令を受けた瞬間は肩凝りも取れた思いでほっと胸を撫で下ろしたものだ。こういうときに逆目を引かない籤運の良さには深々感謝しなければならないといつも思っている。
pass:
Draft