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「小説中の人物で、もっとも美しいと思う女性は誰ですか。」この問いに谷崎潤一郎はヴェエラと答えている。ヴィリエ・ド・リラダンの掌編『ヴェエラ』に登場する幽玄な女性である。登場すると言っても、実は登場しないのだが……そのあたりはぜひ読んでいただきたい。私はリラダンなら『未来のイヴ』のハダリーの方がいいと思う。アケディッセリル女王はどうもイメージがしっくりこない。▼「もっともかわいい」と言われたら、美少女から美少年までいくらでも候補があがってしまって決めようもないが、「もっとも美しい」と言われると、フーケーの『水妖記』に出てくるウンディーネが私の中ではいちばん美しい。想像される容姿はもちろん、ひとつひとつの仕草や言動がどれをとっても可憐で幻想的で、輝かしい魅力に満ちている。物語にしろゲームにしろ、水の精霊はどうも美しく描かれることが多いようだ。今でも美人の象徴のように思っているイマージュである。
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