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標本集団からリサンプリングを繰り返し、未知な母集団の性質を知る統計的手法をブートストラップ法という。ブートストラップは直訳すれば靴紐だが、昔の童話で沼に落ちた男爵が靴紐を引っ張って自分を救い上げたことから、自力・独力を意味する名詞にもなっている。PCを起動するときの「ブート」と同じ語源である。確率分布に頼らず、標本のみから自力で母集団の性質を推定するのだ。機械学習におけるトランスダクティブ・ラーニングとほぼ同義である。▼もっとも身近なブートストラップは言語の習得だろう。言葉を学ぶにあたって赤ちゃんがすることは、身の回りで話される大人の言葉をゆりかごの中でただひたすら聞くことだけである。そうして言葉に付随する情況や再現された現象などを蓄えながら、重複されたリサンプリングを繰り返しているのだ。音韻標本集団から統語規則を推定するブートストラップとでも言うべきか。言語習得は本質的に独力なのである。
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