400
Post/Edit Page
「ぼんくら」は賭博用語である。盆に暗いと書いてぼんくら。盆での勝負に対する目利きが弱いことからそう言う。転じて、何事につけても物事の見通しが利かない人のことを指す言葉になった。▼徒党を組んで仕事をする博徒達のあいだでは、右も左もわからぬ新入りの「ぼんくら」には、まず賭博場の草履取りをさせたという。来る日も来る日も盆は見ることさえ出来ず、ひたすら出入りする客の草履を取りつづける。すると、あるときふと草履のへこみ具合を見るだけで、その人が今日の博打に勝つか負けるか、わかるようになっているというのだ。呼吸を読めるようになったのである。▼「運気を高める」といわれる多くの迷信は、このような「雑用」を薦めているものが多い。これは単なる迷信ではないだろう。継続して小さな仕事をこなしているうちに、ふだんは見過ごしてしまうような細かいことに気がつくようになるのだ。ぼんくらは、雑用によって鍛えられるのである。
pass:
Draft