400
Post/Edit Page
「自分が人から笑われる愚行を演じないためにも喜劇を見ておく必要がある。」プラトンはこんなふうに言っている。私たちは自分の中に潜む悪徳について、警句によってよりも喜劇によってよりよく気づかされるようだ。作中の滑稽な人物を笑っているさなかに、ふとその彼が自分と似たような行動を取っていたり、全く同じ物の考え方をしているさまを見るときの冷や汗は、じわりと冷たく身にしみて来るものがある。▼アリストテレスの弟子、すなわちプラトンの弟子の弟子にあたる、アリストテレス学園第二代学頭テオプラストスは、その著『人さまざま』でこのような喜劇的悪徳について、その気質とやり口を詳細に語っている。どれも過去から現代に通じる人間の普遍的な姿である。ひとつとして該当しないという超人はいまい。詳述される描写のどこかににやりとする、にやりとしつつひやっとする、そんな自分の悪徳を垣間見たことへの反応を、噛みしめてみると面白い。
pass:
Draft