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こんな話を読んだ――夫の家族に代々伝わる料理法では、ポットローストをつくるとき、肉に塩とこしょうをまぶしてから肉の両端を切り落とし、鍋に入れて蓋をして焼く。そう母親から教わったのだという。「どうして肉の端を切り落とすの?」妻が尋ねると、「わからない。いつもそうやってるからさ、母さんに聞いてみよう。」夫はそう言って母親に電話した。「わからないわ。いつもそうやってたからよ。おばあちゃんに聞いてみましょう。」母親はそう言って、祖母に電話した。祖母は言った。「どうしてそんなことをするの? 私がそうしていたのは、肉が大きすぎて鍋に入らなかったからよ。」▼環境が変われば事情も変わる。いつもそうしていたからという理由ほど危ないものはない。なにかの制約を乗り越えるための先人の涙ぐましい努力も、時が変わればもはやまったく無駄なものになっているかもしれないのだ。常に考えよう、なぜこんなことをするのだろうかと。
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