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あるシンポジウムで日本の各大学から経済・経営を専門とする学生を集め、大々的な産学連携の意見交換会を行った。そこでは司会の導くテーマについて、若い学生たちが口角泡を飛ばして議論するはずであった。▼しかし開始からしばらくたっても、意見はぽつりぽつりと単発ばかり。どうにも進行が鈍いのを見てとった司会は、あるとき「名前と所属を明かさなくても結構です」と告げた。発言の前には、自分の名前と所属を名乗ることが義務付けられていたのである。会場はまたたくまに湧いた。▼匿名の議論が活発になるのは当然だが、この場合、個人が特定できるかどうかという恐れは関係がない。顔は見えている。何回も発言すれば「またあいつだ」ともなるだろう。それにも関わらず、自分の情報を明かす必要がないというだけで、一言目への障壁がぐっと下がるのだ。広く意見を集めるときには、まず意見提出に対する潜在的なプレッシャーを取り除くことが肝要である。
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