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ちょうどいまから六、七年前だろうか。ファストフードを中心とする飲食チェーン店で、かなりやかましく衛生問題の騒がれた時期があった。大手各社の杜撰な食品管理がこれみよがしに暴露され、必要以上にクローズアップされた「舞台裏」は、ここぞとばかりアンチ・ファストフードの機運を燃え立たせた。ところがある研究によると、この時期に多く駆逐されたのは安飯チェーンではなく、むしろ家族経営の飲食店であったという。▼衛生問題が騒がれる背後で「夫婦で営むパスタ屋さん」のような店がしばしば閉店に追い込まれたのは、要するに人々の食に対する猜疑心が、手作りという概念に安心できないところまで追いつめられてしまったためらしい。そのうち大手のアピールし始めた「衛生管理」にほだされて、みんながいつも平気な顔をして食べている物の方が信頼に値すると、なびいていったものだろう。今の世なら仕方ないとも思えるが、ひとつ皮肉な結果ではある。
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