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電車の座席はとにかく眠い。しかし、ふつうなら座って数秒で眠り込んでしまうようなグロッキーでも、有無を言わさず到着まで読みつづけられる本が三種類だけある。とりわけ面白い四コマ漫画、プログラミング教本、そして小林秀雄全集。▼漫画やコードはわかるとしても、小林秀雄全集が眠気を誘わない理由はわれながらいつも不思議である。寝てしまってもいいやくらいの気持ちで読み出すのに、気がつくと降車駅についているのだ。よほど周波数が合っているらしい。▼木田元が『なにもかも小林秀雄に教わった』という本を書いている。私もそんな感じである。といって、なにもかも小林秀雄に倣おうというのじゃない。内容については賛否こもごも、ただその誠実さを信頼しているのである。思ってもないことはひとことたりとも書いていないと、心の底から信じさせてくれる何かがある。小さな嘘を見抜く努力のいらないものは、それだけで読んでいて気分がいいものだ。
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