400
Post/Edit Page
白紙の五線譜あるいはスコアエディタに向かって曲を打ち出すのは、まっしろな原稿用紙に向かって小説を書き出すことと変わらない。もちろん白紙の上にも自由闊達な筆でさらさらと名小品を物せる人はいる。けれども作品が長く込み入ってくればくるほど、そういうセンスに任せたやり方では難しくなる。▼作品のタイプにも依る。表現で魅せる作品なら、詳細な理詰めのプロットはかえって邪魔になるかもしれないが、構成が物を言う作品なら、リスナーをどこでどうやって釣り込むか、そういう面白さを煮詰めた念入りな設計はクオリティを大きく左右するだろう。▼音楽も文章も、これまでは設計なしで取り組むことが多かった。けれども近頃、構成をしっかり考えるようになっている。設計を重視しはじめたのではなく、家にいる時間が少なくなって設計にしかかけられない時間が増えたからだ。お陰さまでひとつ新しい視点を学んでいる。人間万事塞翁が馬とは言うべきか。
pass:
Draft