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哲学というのは歩いて歩いて歩きまわって、考えに考え尽くした末に「なんだそんなことか、それなら知ってるよ」と誰もがいうところに着地する、そういうものなんです。だから人にはつまらなく見える。仕方のないことです。――以前まだテレビがあったころ、野矢茂樹がそんなことを言っていた。ヴィトゲンシュタインの論理哲学論考、論理学関係の本数冊、そして大学時代に科学哲学の授業後、ヘンペルの鴉についての質問に長々メールで答えてもらったのを覚えている。▼哲学は哲学の結果を云々するものではない。少なくともそのためのものではない。思考の道筋が即ち哲学という営みである。文字通り「考えることに意味がある」のだ。幸運にも小洒落た表現を手に入れた誰々の何とか哲学は、金言になったりサウンドバイトになったりする。幸運にも、だ。見栄えのいい結果を捻り出すためになされる思考は哲学ではない。哲学とは、あくまで「難しい常識」に過ぎない。
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