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どんなに先鋭的なデザインを凝らした家でも、四方の柱がてんでんばらばらな素材で出来ている家は不自然である。区分けの意図が全く成されていない、種を好き放題撒いただけの庭は、塀と家の隙間にある「草地」に過ぎない。設計者の哲学の不在は、被造物にどこかちぐはぐな印象を与える。見る人は表現の出来不出来よりも、まずこのちぐはぐさにひっかかる。▼てんこ盛りの概念集のような本は、どこか読んでいてぎくしゃくする。作品が差し出してくる諸観念が、どうも巧く集められていないという気が終始する。こう考えた、ああも感じた、こんなことも思いついた……それで結局君の信じる信念は何なんだと訊きたくなる読後である。訊きたくなるということは、それについての説得が、あるいは説得力がどこにも無いのだ。あれもこれもとおいしいところを脳の中から巻きあげてやろうというのは、いかにもがさつなやり方である。きれいな綿菓子をつくるには棒がいる。
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