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プラトン主義的な考え方では、物事は「現実的なもの」である前に「可能的なもの」として存在しており、それが実在を獲得することで現実的なものになる。しかし可能性、可能的なものとは、既に実現したことを過去に投げ返したものに過ぎない。時間と空間の取り違えが生じていないか。時間を空間のように可逆的なものと見なしてしまうがために、本来不可逆な時間を遡って可能性と事象性の関係を見誤ってしまうのではないか。▼ベルグソンは『可能性と事象性』で、「可能的なもの」と「現実的なもの」の関係をこう論じている。こう論じているからどうだと言う気はない。執筆中の話に関係があって、思い出したのでスクラップブックから探してきた。たしかに時間は不可逆である。不可逆であればこそ、回想という行為は人にとって甘美なものになるのだろう。回想とは過去を思い出すことではない。そうでありえたかもしれない過去について、思いをめぐらすことである。
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