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全集十五巻の、小林秀雄を囲む座談「コメディ・リテレール」をたいへん面白く読んだ。十五巻までの小林秀雄が人の口を借りて少しずつ顔を出している。それに十五巻の、つまり44歳の小林秀雄が答えている。「それは僕が未熟だからですよ。」▼随分いろんなことを考えた。触れたものがあんまり素敵だと、もうあれこれ感想や注釈を挟みたくなくなる。そういうときは引用で済ましてしまう。無闇にカットの腕を振るう必要もない。「やはり何でも仕事は労力が要るんだね。石で造った建築の方が、堀立て小屋よりもいいですよ。だから、石が物を言うことがある、僕が物を言わなくたってね。僕だけで何かうまいことを言えばいいわけじゃなくて、材料が物を言う、僕の知らないことを語ってくれることがあるでしょう。そうすると、材料を沢山持って、労力をかけた方がいいものが出来るんですよ。そういう意味です。何もそういうものにたよるわけじゃないけれども……。」
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