400
Post/Edit Page
「少女コレクション」という秀逸なタイトルを考え出したのは、自慢するわけではないが私である――澁澤龍彦の『少女コレクション序説』はこう始まる。たいした開会宣言だと思うが、実際、このタイトルは秀逸である。▼古来、人間を模したドールのほとんどは少女のかたちを取った。それが成熟した女性でも少年でもなかったのは、少女こそ人間のなかでもっとも生の感覚から遠い存在だからだ。「コレクションに対する情熱とは、いわばオブジェに対する嗜好であろう。生きている動物や鳥をあつめても、それは一般にコレクションとは呼ばれないのである。」▼集められた昆虫も貝殻も、みな乾いている。それは生命ではなく標本である。活気あふれる少年でもない、自覚に満ちた大人でもない、自らは動き出さぬ冷たい存在としての少女だけが、理想の世界で標本たりえた。だからこそ少女蒐集は世界中で、ただ空想の世界においてのみ、究極のコレクションだったのである。
pass:
Draft