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イヤホンをかけていたら、出会い頭の「おはよう」がいつもより大きかったようだ。こんな毎日言いつづけているフレーズでも、耳が利かなくなれば音量が覚束ない。いかに人の声というものが、口と耳とで正と負のフィードバックを絶妙にコントロールしながら、ようやくちょうどいい音量、調子、抑揚に仕立てているかを改めて思う。ボーカロイドに触ったことのある人なら、あの音を人の声らしく調節するのがどれほどたいへんか知っているだろう。▼巧まざる自然はない。というよりも、自然は無限な巧みの結果である。無限な巧みが折り畳まれて、ついに見えなくなったものだ。「忘れられるまで習慣化された偽善としての道徳」のようなものである。ライクアスワン、秘すれば花。こうしたことばには、隠すこと自体を美徳とする精神にくわえて、花はおのずから隠れたるものであるという信念がこもっているようだ。自然さとは、不自然さを誰にも気づかれないことである。
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