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はじめて読んだ岩波の本はミシュレの『魔女』だった。青本だ。つづいてショウペンハウエルの『読書について』、次がニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』だったと思う。その先は覚えていない。▼当時の私がこれらの本を読みたくて読んだかといえば、まったくそんなことはなかった。ニーチェは授業で聞いたくらい、ミシュレなど名前も知らなかった。ただ岩波の世界名言集に名言が載っていて、それを眺めているうちに、こういう言葉が載っている本というものに興味が湧いてきたのだ。▼それまでの人生で本らしい本を読んでこなかった私にとって、もちろんミシュレは重かった。章の半分ごとにノートをまとめていくほど重かった。本の読み方を知らなかったから、そういう苦労が当たり前のものだと思っていた。そうして苦労して読み終えたあとには、巻末に付属している「その他の岩波文庫」のラインナップを眺める。ただ眺めて、それが意味もなく楽しかった。
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