400
Post/Edit Page
ギリシアの片隅。ある教師が「弁論術が身についたら受講料を支払う」という契約で弟子を取っていた。講義の腕は確かであった。ところがこの弟子、いつになっても受講料を払わない。やがて教師の方が訴訟を起こした。そうして曰く「君が裁判に負ければ判決に従って受講料は支払わねばならぬ、しかし君が勝てば契約に従ってやはり受講料は支払わなければならぬ。いずれにしても君は受講料を払わなければならないのだよ。」▼このように、どちらの道を選んでも同じ結論になるのだから、導かれた結論は真実であると迫る論法を「両刀論法」という。選択肢を「もれなく」吟味するところに説得力はあるが、使い方を間違えるとしばしば不完全なものになるので注意が必要だ。弟子は言った。「でも先生、私が勝てば判決に従って受講料はチャラ、私が負ければ契約にしたがって、なにも支払う必要はありませんね。」見事な切り返しだけに、やはり受講料は支払うべきだろう。
pass:
Draft