400
Post/Edit Page
猫は人間を飼いならすという。猫というのは、そういう動物なのだそうだ。ポール・ギャリコは『猫語の教科書』で、そんな猫の視点から「私に尽くす人間たち」の姿を描いている。猫にとって人間は、住み心地のよい家についてきた無料の執事に過ぎない。▼そういう媚びない不遜さが、かえって気楽に可愛がられる秘訣でもあるのだろう。欺瞞や打算のはびこる人間の世界では、見返りのない愛情を振りまくのも一苦労だからだ。どれだけ可愛がってもなんの益もないところに猫の可愛がり甲斐がある。感情移入しやすい犬にはできない相談だ。猫と犬との可愛さとは別物である。▼私も昔から猫は好きだ。ただ見ているのが好きなだけで、近寄ったり、撫でたりはしない。じっと遠巻きに見ている。重度の猫アレルギー持ちなので、あんまり近寄ると目鼻がやられてしまうのだ。大学のキャンパスにも名物の猫がいた。よく飽きず窓から眺めていた。しなやかな置物だと思っていた。
pass:
Draft