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わがままな私は、私の精神にあわない言葉が大嫌いだから、手にも口にもそういう「気分じゃない」言葉は使わせないことにしている。多分、覚えてもいない。どれほど多くの表現に触れても、私の語彙の総数はちっとも変わらないようだ。ひとつ好きな言葉を覚えれば、いちばん要らない言葉が消えていく。私はいつも好きな言葉ばかり使っている。偏食である。▼したがって書き言葉と喋り言葉も似通ってくる。堅かったり柔らかかったりはしても、言葉の集合、漂う空気、定形の切り出し、そういうものは変えていない。変えようと思っても変えられない。いつかほとんど何も変わらなくなればいいと思う。そう思いつつ、見比べてみるとやっぱり違うものなんだな、と思えるくらいの違いが出てくると望ましい。そうしてついに一致しない両者を見比べて、味とか風采とか曖昧なことを言いながら、やはりパロールとエクリチュールは違うね、などと澄まして居ればいいのである。
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