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奥の部屋から丹前を出した。袢纏だけでは足元が寒いから、その上に羽織るのだ。歩くときに裾を引摺るのは部屋中を掃除して歩いているようで難有りだが、前を合わせて上から下まで包まればさすがにぬくぬく暖かい。これなら朝まで働ける。午前五時……粛々と宛名を書きつづける。▼ときどき白湯を入れに階下へ降りる。これをやりはじめるといよいよ本格的に真冬という気がする。秋には緑茶が美味しいが、冬には白湯の方が口に合うのだ。理屈はわからない。紅茶は年中飲んでいる。とくべつ好きでも嫌いでもない。コーヒーは何を入れても飲みつけないから、たまに缶を買うくらいだ。▼今年も年末年始は表の自動販売機にたびたび世話になるだろう。去年となにも変わらない。激動の一年が終るというのになにも変わらない平凡な生活が心やすくも馬鹿らしくもある。ここまで乾ききった人生に潤いなどかえって毒かもしれない。気安く皮肉れるほど、からっと乾いている。
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